有給取れないのは当たり前?その常識、違法です【2025年最新版】

子供の行事に参加したいのに、休ませてもらえない。
周りが休んでいないため、有給を取りたいと言い出せない。
そんな職場の空気に、ストレスを感じていませんか。
しかし「有給が取れないのは当たり前」という考えは、法律違反の可能性が高いです。
この記事では、有給休暇が労働者の正当な権利であることを法的根拠に基づき解説します。

結論|「有給が取れないのは当たり前」は法律違反です

「有給休暇が取れないのは当たり前」という考えは、法律的に間違っています。
年次有給休暇(以下、有給)は、労働基準法第39条で定められた労働者の権利です。
6ヶ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には、法律で定められた日数の有給が付与されます。
これは雇用形態に関わらず適用されます。
2019年4月からは法改正により、年10日以上の有給が付与される労働者に対し、会社が年5日を取得させることが義務化されました。
これは「時季指定義務」と呼ばれ、会社が時季を指定してでも休ませる必要がある強力な規定です。
会社が有給を取らせないのはなぜ?よくある理由と違法性の解説

法律で定められた権利なのに、なぜ有給は取りにくいのでしょうか。
会社が有給取得を妨げる言い分と、その違法性を解説します。
理由1「人手不足で休まれたら困る」
「人がいないから有給は無理だ」と言われても、人手不足は有給を制限する法的理由になりません。
労働者が休んでも事業が回る体制を整えるのは、会社の責任です。
過去の裁判例でも「労働者の確保は使用者の責任」と示されています。
人手不足を理由に有給取得を拒否するのは、会社の責任転嫁です。
労働者が人員不足に罪悪感を抱く必要はありません。
理由2「周りも休んでいないから」という同調圧力
「周りが休んでいない」という同調圧力が、有給取得の壁になることがあります。
有給は個々の労働者に与えられた権利です。
他の従業員の取得状況は、自身の権利行使に関係ありません。
申請をためらわせる同調圧力は、パワハラの「個の侵害」に該当する可能性があります。
権利行使を妨げる雰囲気作りは、職場環境を悪化させる問題行為です。
理由3「この忙しい時期に?」と時季変更権を濫用
会社には労働者の希望日を変更できる「時季変更権」があります。
これは「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、会社が休暇日を変更できる権利です。
しかし、この権利が認められる条件は非常に厳格です。
単に「繁忙期だから」という理由では、時季変更権の行使は認められません。
裁判例では、代替要員の確保が極めて困難な場合などに限定的に認められます。
「この忙しい時期に?」という発言は、時季変更権の濫用であり違法な妨害の可能性が高いです。
理由4「何に使うの?」としつこく理由を聞く
労働者に有給取得の理由を説明する義務はありません。
行政通達でも「休暇の利用は労働者の自由」と示されています。
申請書の理由欄は「私用のため」で十分です。
執拗に理由を聞く行為は、プライバシー侵害やパワハラに該当する可能性があります。
【実践編】角を立てずに有給を申請するための3ステップ交渉術
有給取得が権利だとわかっていても、円満に主張するのは難しいものです。
冷静かつ論理的に有給を取得する3ステップを解説します。
STEP1|準備:自分の権利を確認し理論武装する
行動前に準備を整え、会社からの反論の余地をなくしましょう。
- 自分の有給休暇の残日数を確認する
給与明細などで有給残日数と有効期限を把握します。不明な場合は人事部に確認しましょう。会社には「年次有給休暇管理簿」の作成・保存義務があります。 - 会社の就業規則を確認する
就業規則で有給の申請ルールを確認します。申請期限などのルールを守り、手続き上の不備をなくします。 - 業務の引き継ぎ計画を立てておく
休む間の業務引き継ぎ計画を立てておきます。「引き継ぎは万全です」と伝え、業務への支障を理由とした妨害を防ぎます。
この準備で、自信を持って申請できます。
STEP2|申請:そのまま使える伝え方と言い回しテンプレート
準備が整ったら申請します。
「許可」ではなく「通知」のスタンスで冷静に伝えましょう。
トラブル防止のため、記録に残るメールでの申請を推奨します。
メールでの申請文例
件名:年次有給休暇取得の申請(〇〇部 氏名)
〇〇部長
お疲れ様です。
〇〇部の〇〇です。
下記の日程で、年次有給休暇を取得させていただきたく、申請いたします。
■取得希望日:2025年〇月〇日(〇)〜 2025年〇月〇日(〇) 計〇日間
■理由:私用のため
休暇中の業務につきましては、〇〇さんに引き継ぎを依頼済みです。
不在の間、ご迷惑をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
理由をしつこく聞かれた際の切り返し方
上司から理由を問われた場合は、以下のように冷静に対応しましょう。
- 丁寧にかわすパターン
「申し訳ありませんが、プライベートなことですので、控えさせていただけますでしょうか。」 - 毅然と対応するパターン
「お尋ねいただき恐縮ですが、法律上、有給休暇の取得に理由は必要ないと認識しております。」 - 業務への配慮を示すパターン
「ご心配いただきありがとうございます。業務の引き継ぎは万全に行いますので、その点はご安心ください。」
感情的にならず、淡々と事実を伝えることが重要です。
STEP3|対処:嫌味や妨害を受けた時の記録と対応
正規に申請しても不当な対応をされたら、感情的にならず事実を記録することが重要です。
記録は、労働基準監督署や弁護士への相談時に客観的な証拠となります。
以下のポイントで詳細な記録を残しましょう。
| 記録すべき項目 | 記録内容の具体例 |
|---|---|
| 日時 | 2025年〇月〇日(〇) 午後2時15分頃 |
| 場所 | 自席の隣、オープンスペースにて |
| 相手 | 〇〇部長 |
| 言われた内容 | 「この忙しい時期に休むなんて、チームリーダーとしての自覚が足りないんじゃないか」「みんな頑張っているのに、自分だけ楽をしようとするな」と、他の社員にも聞こえる声で言われた。 |
| 自分の対応 | 「ご懸念ありがとうございます。担当業務の引き継ぎは〇〇さんに依頼し、マニュアルも作成済みです。業務に支障が出ないよう最大限配慮いたします」と返答した。 |
メールは全て保存し、可能なら会話の録音も強力な証拠になります。
それでも有給が取れない場合の相談先と最終手段
交渉しても改善しない場合は、外部の専門機関に助けを求めましょう。
状況に応じた相談窓口や専門家を紹介します。
相談先1:労働基準監督署|会社への指導を求める
労働基準監督署(労基署)は、企業が法令を守っているか監督する国の機関です。
有給を取得させないのは労働基準法違反のため、労基署に相談すれば会社への調査や指導が期待できます。
相談は無料で、全国の「総合労働相談コーナー」で可能です。
相談には、記録したメモやメールなどの証拠を持参するとスムーズです。
匿名での情報提供も可能ですが、労基署は個人の代理人ではないと理解しておきましょう。
相談先2:弁護士|法的な解決を目指す
より法的な解決を目指すなら、労働問題に強い弁護士への相談が有効です。
弁護士に依頼するメリットは、代理人として会社と直接交渉してもらえる点です。
精神的な負担が減り、有利に交渉を進められる可能性が高まります。
有給取得妨害による精神的苦痛に対し、慰謝料を請求できる場合もあります。
多くの法律事務所は初回無料相談を実施しているので、まずアドバイスを求めてみましょう。
今の職場は限界?転職を考えるべき3つのサイン
有給が取れない問題は、会社の労働者への姿勢を反映しています。
改善が見込めないなら、健康を損なう前に「転職」も重要な選択肢です。
今の職場に見切りをつけるべき危険なサインを3つ紹介します。
サイン1:会社の体質が根本的に変わる見込みがない
経営陣が「休むことは悪」という古い価値観なら、個人で会社を変えるのは困難です。
相談しても真摯に受け止められないなら、会社に自浄能力はありません。
この環境に留まることは、心身をすり減らしキャリアのリスクにもなります。
健全な労働環境を求めるのは、前向きな自己防衛です。
サイン2:心身に不調が出始めている
仕事のストレスは、知らぬ間に心身へ深刻な影響を及ぼします。
以下のサインは危険信号です。
- 慢性的な疲労感が抜けない
- 夜、なかなか寝付けない、または何度も目が覚める
- 休日も仕事のことが頭から離れず、無気力になる
- 以前よりイライラしやすくなった、集中力が続かない
- 原因不明の頭痛や腹痛がある
仕事のために健康を犠牲にするのは本末転倒です。
サインを軽視せず、自分を大切にする決断が必要です。
サイン3:ホワイトな職場環境の探し方
転職するなら、次の職場が健全な環境か見極めることが重要です。
求人票で「年間休日125日以上」「有給消化率」などを確認しましょう。
企業の口コミサイトで、社員のリアルな声を確認するのも有効です。
面接で有給消化率を質問し、面接官の反応で企業体質を推し量れます。
情報収集が不安なら、内部情報に詳しい転職エージェントへの相談も有効です。
有給が取れない悩みに関するよくある質問
最後に、有給休暇の取得に関する疑問点にQ&A形式でお答えします。
まとめ|勇気を出して「休む権利」を取り戻そう
「有給が取れないのは当たり前」が法律違反であることを解説しました。
重要なポイントを振り返ります。
- 有給は法律で保障された権利で、取得妨害は違法です。
- 「人手不足」や「繁忙期」は、有給取得を拒否する正当な理由になりません。
- 休むことに罪悪感は不要で、理由を説明する義務もありません。
- 困った場合は労基署や弁護士に相談できます。
心身の健康を保ち、大切な人と過ごす時間は何にも代えがたいものです。
有給休暇はそのための重要な権利です。
この記事が、理不尽な状況に声を上げる一助となれば幸いです。
